趣味

2008年12月 1日 (月)

PanさんのCDコレクション 参

 ぼくのファンならどなたもご存知、なんでも三回繰り返す主義者のターナーでございます。
 と、口調はなんだか綾小路きみまろ。彼って凄いですよね。内緒の話なんですが、ぼくは激惚れしています(笑)。

 きみまろさんについては、そのうちにまとめて語りたい。語らせていただく価値が充分にある。
 「人間なんておしめで始まっておしめで終わる」ってのが彼の哲学だ。その通りだと思う。ぼくが「介護」の道を選んだのは、きみまろさんのお導きだったとさえ思って感謝している。

 きみまろさんの本、『有効期限の過ぎた亭主・賞味期限の切れた女房』、『こんな女房に誰がした?』(共にPHP文庫)はぼくの座右の書と呼んでいい。一度、ご精読されたい。

  座右の書か。。。そもそもぼくにとって最初の本って、何だったんだろう?

 奇妙な記憶が鮮明にある。
 小学校1年生のお正月。その年、父方の祖母はまだ健在で(二年後の4月に脳溢血で亡くなるのだが)まだ52歳と若かった。お年玉のかわりに本を買ってあげるとK書店に連れて行ってくれた。児童書のコーナーで、ぼくが選んだのは『ジュール・ヴェルヌ全集』だった。二人で持ち運びできないほどの冊数だった。版元も翻訳者が誰かもいまは知らない。絵本ではなく、活字がびっしりと多かった。でも抄訳の児童書だったわけだけどね。
 幼稚園時代まで読書した記憶は全くない。絵本は数多く眺めていたろうが、本と向き合っていた時間は実際になかったと思われる。その正月(3日すぎ)から、ヴェルヌ全集を夢中になって読んで過ごした。「月世界旅行」、「海底二万里」、「八十日間世界一周」、「十五少年漂流記」、「地底探検」・・・。
 このヴェルヌの故郷がフランス・ブルターニュ地方の町ナントだった。敬愛するジャック・ドゥミ監督も同郷の人。長編処女作『ローラ』はここで撮られた。2008y12m01d_111738281_2

 辻邦生は日記(『パリの時』/中央公論社)にこう書いている。

“T君の懇願でナントに向かう。ナントは連載中の『フーシェ革命暦』の大事な舞台なので前に何回か取材をかねて出かけたことがある。十八世紀から十九世紀初頭にかけて栄えた、ロワール河の舟航を利用した貿易港、かつての栄光を偲ばせる壮麗な町並みや、堂々たる邸宅があり、都会(まち)全体に華やかな感じが漂う。東のナンシーも憂愁を帯びた華麗さを湛え、ぼくの好きな都会(まち)だが、ナントは宮廷風の憂愁感のかわりに商人風(ブルジョワ)の豪華趣味が感じられる。2008y12m01d_111323468
 (・・・・・・)
 たまたま駐車したのは、その町に見覚えがあったからだが、それがT君の目ざすパッサージュ・ポムリのすぐそばだったのにも驚いた。パッサージュ・ポムリはかなりきつい勾配になったナントの山の手の、その斜面を利用した石の階段の歩廊
(ガルリー)で、両側はショーウィンドーの大きな商店になっていて、頭上を鉄骨、ガラス張りの屋根で覆ってある。パリにも道路をガラス屋根で覆った歩廊(ガルリー)状の細い道(パッサージュ)はあちこちにあるが、このパッサージュ・ポムリは五十段ほどの石の階段があって、見事な石爛にブロンズの裸婦像が配され、それぞれ街燈を支えている。T君がこのパッサージュ・ポムリを見たがったのは、彼の偏愛するジャック・ドゥミ監督の『ローラ』のなかにここが出てくるからだ。(・・・・・・)”

 こうして先生とぼくは、彼が以前から懇意にしている古本屋に顔を出して老主人にご挨拶し、ナントの旧市内をひとまわり歩いた。
“港に近いレストランで食事をする。下はカフェ、奥はビリヤードになっている。二階の食堂の壁には水色の地にいかや蛸やひらめや貝などが水族館のように描かれている。壁画に敬意を払ってソール・ムニエールを食べる。”
2008y12m01d_112241343_2  ナントは辛口の白ワイン「ミュスカデ」で有名な町だ。
 “おかかえ運転手”の辻さんの同意を得て(あの独特の、満面に笑みをたたえたお顔の素敵だったこと!)ぼくは最高のやつを軽く一本空けた。「もっといいぜ。君ならいけちゃうじゃないか」、辻さんがグラスのむこうで微笑んでいた。
 ワイングラスと、よく拭き取られたピカピカなガラス窓の彼方にはナントの海が光っていた。(実際はロワール河だ!)
 なんと綺麗な光景だったろう。

  前の夜、二人は島に泊まっていた。美ケ島(Belle Ile)。島で一番のホテルにメゾネット形式の部屋をとり、断崖の上に建つホテルから真っ青な大西洋を眺めながら、ぼくの誕生日を祝っていた。カルヴァドスの古酒を二人で舐めるように飲み、夜更けまでドゥミの映画談義に興じていたのだった。と日記には書いておこう^^;。 素敵すぎ~っ!

 ナントの街。時間は午後の最も輝かしく若いとき。
 ぼくは辻邦生とさしで向かい合って、ミュスカデを飲んでいたんだぜ。
 なんとも美味しい時間だった!

 ぺルマ
ナント!! 永遠に止まったままの、辻さんとの至福の時間(とき)よ。
 CDは、想い出のすべてをその銀盤に氷結させている。
 ジャケットはその心を永遠にあたため、煌めかせる。

 音楽! なんて君は美しく活き活きとした“生きもの”なんだろう。
 いま、キース・ジャレットを聴いている。『Time on My Hands』。
 なんと素晴らしい曲か!両の手のひらに、こぼれんばかりの真珠が輝き溢れている。浄福のとき。辻邦生なら、そう言って微笑むはずだ。
 

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PanさんのCDコレクション 弐

 別卵性精神的シンクロニシティック双生児のぼくらは、片割れが風邪で倒れると遠く異郷の地にあっても、もう一方も当然風邪をひく。(理屈、SOくるかぁ?)
 複雑系のカオス〔因果〕理論【北京で一匹の蝶々がヒラヒラ舞うとフロリダにハリケーンが襲来するっツー説】よりも相互関係が神秘神学的、霊的にソートーに深いのである。(SOなの?) ジャン・コクトーが監督した傑作映画『双頭の鷲』、みたいな^^;。
 最近は「あなた」との区別さえつかなくなってきて(認知症・要介護度4くらい?)、なんだか毎日のように話をしていないと心が落ち着かない。気が苛立ってくる。(SOなんだよ)

 夜勤を終えて家に戻って来て、吉田喜重の『さらば夏の光』のDVDを40年ぶりくらいに懐かしく涙ながらに観ていた。〔こういう姿を“ローザンヌ的”という。残酷に美しくも老残。〕
 Mの中のM、ぼくの永遠のマドンナ、岡田茉莉子の主演作品だ。

2008y12m01d_005410109_2  観ていて途中から悪寒が走りした。確かにとっても疲れてはいた。熱はいつも高い。37℃がぼくの常温
 血圧は昨日デイの看護師のハルミさんに強制的に測らされたら、上が190あった。これもいつもながら高い。下は138だ。手首に剃刀をあてると噴泉のごとく紅の霧が湧き立つ()
 サブ~~~ッワインをガブガブ飲んでもちっともおさまらず、今度はどっと眠気がしてきた。

 (どうせ無理だとは思っていたが^^;)何を考えていたのか当分連絡はしないと言った舌の先も乾かぬうちに、双子の片割れに話しかけたくなってメールを一本入れてから、おもむろにベッドに倒れこんだ。即、昏睡状態。『コーマ』って映画が昔あったよなぁ^^。


 それからどれだけ眠っていたのか。。。

 真夜中すぎに、寝汗をびっしょりとかいて溺れそうになっている夢で目覚めて、続きを書き出した。はやいところまとめておかないと先に進めないもんね。

 美の巨人たち。きょうの一枚は・・・あ、嘘ね^^。

Photo_4  2005年制作のCDがこれだ。
 なんで長渕がいるのか不思議だろ?
Panさんて、意外なタイプがお好き。旦那は典型的ナイスガイなのにね。当時ぼくは媚びてみたわけだな^^;。剛と陽水、素敵じゃないかとね。クラプトンは、まんま、バラード。これが一番好きかも(笑)。
 今井美樹は例のやつだ。ワイエス画像の変形タイプね。
一般向けの普及盤。

 よ~く観ると「My Foolish Heart」が早速登場している。この曲は最近も別テイクで収録している^^。
 そう言えばこの前のブログでぼくがまとめた『大停電の夜に』の「アナザー・ストリート」。結構受けが良くて(そういうことはコメしてくれないんだけどさ。書いてよ!)、映画の奥行の深さが分かったって感激のファンレター(メール)があったよ。もう一度、詳しく、語りたくなっちゃうな。いい、必ず「アナザー・ストーリー」はあるんだからね。その無意識的記憶で作品は描かれているのだ。意識せよ!


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2008年11月30日 (日)

PanさんのCDコレクション 壱

Photo_8   おぼえているかな?
 2年前の秋、こんなCDを制作して、“ドヤ、ドヤ、あんたらはブラッド・メルドーを知っとるんか!”と、みんなに無料配布したよね。
 ちゃんと聴いてくれたかいな?

 RとLが逆転している。そんなことは百も承知で無理して訳せば“血と糞”だぜ。まさに名前からして、強烈! 
 ブラ(L)ディ・マリーのブラ(R)ッドだ。ジャックナイフの切っ先みたいな指で鍵盤を激しく刺してくる。
 彼の左と右の手は全く別個の生き物になって、分解された和音じゃないぜ別旋律を同時並行的に弾きまくるんだ。手が何本あるのか分からない。
 はたまた、その鋭利でひんやりと冷たいナイフの先っぽは、乳首を甘く優しく愛撫するようにバラードを奏でる。たまったもんじゃないさ。性別も年齢も関係ない。初老の男だって乙女オヤジだって、誰もがみんな陶酔の極みだ。
 徹底してストイックでサディスティック。エロティックでマゾヒスティックな両性具有のマジェスティクなタッチ!マジカルでマニフィックなその指さばき。
 モダンジャズのピアノ文法を破りまくりのメル(R)ド〔糞〕のメル(L)ドーには、南仏プロヴァンスの王侯貴族の血をひくサド侯爵がのり移っているかのごとく、ミタイナ・・・^^。Photo_9

 メルドーは「あなた」が発見した。随分とむかしに。メルドーがNYのジャズクラブで注目され始めた頃。日本ではほとんど誰も知らなかった時代に・・・。〔もちろんその後、メジャーになって来日公演するようになったメルドーをひみチャンと二人で追いかけるように聴いていたことも知っている。完璧にオッカケてたよね^^。〕
 もうすでにキースの時代ではない、と「あなた」は決然と言い放っていた。こうも言っていた、ケルン・コンサートでもソロ・コンサートでもサンベアでも有名な楽節はわたしにだって真似して弾ける、そっくりそのままに弾ける自信がある。でもたとえばメルドーの「Convalescent」は私には絶対無理。到底無理。私が二人いて並んで座って弾いて、ようやくできるって感じかな。彼は一人でやってのけるのだから・・・人間技じゃない。
 その究極の天才的ピアノプレイ「Convalescent」は、ぼくのつくったメルドー『悪魔のような・・・あなた』(青玄堂謹製)で聴ける。

 話を戻して、
 かくのごとく、ジャズ・ピアニストでは大好き中の大好きなブラッド・メルドーのコレクション10数枚を綿密に心あらたに聴き直してみて、ベスト11曲というのを厳選・精選して編集したのがこの一枚、『悪魔のようにバラードに......』(青玄堂謹製)だった。

 気をつけて聴いていると、ハリウッド版『イルマーレ』で挿入曲として使われている「Young at Heart」が6曲目に出てくる。思わず微笑んでしまうでしょ?Photo_10

 ぼくの作るCDには共通したクセのようなものがあって、第1曲目で必ず“勝負!”だ。この最初の1曲ですべての良し悪しを評価してもらいたいといつも思っている。聴き手にとっては、あなたのツボにハマッたか、否か。最初で判断してもらいたい。
 むかしっから一番美味しそうなのに、まず、手を出す・手をつける主義者なんだよね^^;。二番手・三番手はその他大勢と一緒。食事もそうだ。オードブルなしでメインから始めてもらっても結構。握りも一番旨そうなのから。ワインだって、たとえ重すぎてもボルドーの赤の最高のから攻めてみたい。最後にとっておくなんて発想、貧乏臭くてとても駄目だ。
 好きになったらひたすら一途に・ひたむきに。あっ、それは違う話か^^;。
 ブラッド・メルドーでは「Song-Song」、これっきゃない。この一曲があればいい!!

 このCDに対しては、ネットで記事を読んだフランス在住の日本女性からも要望のメールが届き、実家の父親に宛てて送り付けた。裏には差出人「ターナー」(あるいは、エドガー・ターナー/Edgar Turner)の文字それだけ。さぞかし怪しい郵便物だと思われたろうなぁ(笑)。

 このあたりから、ぼくのオリジナルCDづくりが大きく変化している。

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