« クリスマスには早すぎるけれど | トップページ | 縁(えにし)の紅い糸・・・ »

2008年10月 6日 (月)

グーグルおそるべし

  バアバ(カミさんの母)の誕生日。
 駅前の本屋に出かけたついでに花屋を三軒まわる。が、なかなか気に入ったのが見当たらない。
 花束はやめて、結局選んだのは、ハロウィンがらみのこんなバスケットもの。001_3
 おばあちゃんが店番をしていた小さな店だった。
 
 雨が降っている。花屋のおおきな白い包みを濡らさないように気をつけながら、気分がいいのであえて遠回りして家路につき、途中で郵便局に立ち寄る。辻さんの『花のレクイエム』、単行本のほうを発送するためだった。

 ぼくの書棚にあるのはほとんどが先生からの贈呈本だが、最晩年近くのこの本は自分で買った。
2008y10m06d_172843262  高校時代から三島由紀夫と辻邦生だけは初版本で集めることにしていた。
 三島さんは途中であんな事件が起こり、古本屋でも一気に値が急騰して少ない小遣いの少年には手が出せなくなってしまった。三島を専門とする神田の某店の三階特別室にお邪魔しては、なんど指を咥えながらガラスケースの中の彼の稀覯本を覗き込んでいたことだろうか。
 それでもビブリオフィルの青二才は、花ざかりの森を一瞥しながら必死に小銭を貯めつつ、1冊また1冊と時間をかけて初版本の収集にあたってきた。
 辻さんのは、現代作家にしては珍しいほど限定本が著しく多い。あれだけ多作だったのに加えて、特装・署名落款、木口木版、限定100部なんてのを同時に趣味的に造っていた人だから、別の意味での辻文学愛好者(コレクター)が全国的にはびこっていた。
 書物=作品がまるで陶芸作家の芸術作品のようで、ぼくには・・・ほとんど手が出なかった。

 書棚から『花のレクイエム』を抜き出して中の挿画を眺め、これが山本容子の本物の銅版画ならどれだけ喜んでもらえるだろうかと思った。確かそんな限定本が存在するはずだ。
 すこし前の、ITバブルの文学好きの実業家なら、すぐに買い占めちゃうんだろうなぁ・・・なんて変な羨望心が沸きあがりニガ笑いする。

 まぁ気持ちだけ受け取ってくださいな、と、窓口にそっと差し出す。ゆうメールでお願いします。これが一番安いんだもの。けちくさい処理の仕方だけど、ゴメンネ^^; ミアネヨ~ッ。

 

 (ある人と)約束していたことを実行する。

 我が家の“月(がめぐる)窓”というのをお見せしたい。006_2
 天井に近いいくつかの小窓。これが額縁になって、蒼い空に白い月が浮かんで見える。
 満月の夜に、ワインを飲んでいてふと思い出して見上げてみると・・・輝く月が見えるのさ。ホントだよ。

 構造体には何一つ力学上の影響を及ぼしていない梁と柱、これも我が家独自のものだ。
 ないほうが自然なのは判っている。邪魔臭くも重たくもない。圧迫感もない^^。これを支えるのが逆に大変なんだから、常識的には「余計なモノ」。二階に引き上げるのにどれだけ苦労したことか(笑)。
  でも審美的こだわりがあって、あえて空間に水平・垂直に生やしてもらった(変な日本語)。

 逆方向から見ると、ピアノの方にオーディオ機器が置かれている。


 ターナーさん、重度認知症高齢者たちの介護をしていて何が楽しいのですか? といきなり胸を刺されるような痛い質問を受けることが、たびたびある。
 ヘルパー養成講座で学んでいる方々が、ウチの施設に「訪問介護」の実習体験でやって来るのだが、その指導をしていると必ずそんな話になる。

 とくに夜間、“壊れてしまった”高齢者たち(平均90歳超)のお相手をしていると・・・ふと自分でも“なんだかな~っ”て、トイレの冷たいタイルの床に片膝ついて想ったりする。そのとき時計の針は、二時とか三時をさしている。四時になれば、あそことあそこのベッドから老婆が身を起こし、支離滅裂な言葉とともに徘徊が始まるのだ。
 
 あらアンタ、起きてたの? あたしゃ一晩中アンタを待ってたのに。来てくれなかったじゃないか。ひどい男だね。別の女と遊んでたのか!、と一人がぼくをなじれば、
 おはようございます。●●●(本名)と申します。ご厄介になります。初めてですが宜しくお願いいたします、としおらしく腰を折るもう一人。

 これまで指導している数百人の実習生の誰にも言っていないこと。2008y10m06d_183626809
 ぼくは、巨大な木の十字架の影に見える柱と梁を、深夜、窓から射す月の光の下で眺めながら、イーヴォ・ポゴレリチが弾く『ドメニコ・スカルラッティ/ソナタ集』(POCG-1623)を聴いているときに、この世に生きていることの無上の幸せを感じるのだ。
 ちっとも大袈裟な表現じゃない。
 なにも要らない。ボルドーワインさえも。
 
 床に仰向けに寝て、研ぎ澄まされたイーヴォの打鍵の響きを全身で皮膚呼吸する。そうだな、裸になって聴くのが一番だろう。キリストの磔刑図のように、すこしだけ身をよじらせてみよう。口も半開きにして。そのままこのCDが静かに終わるまで。。。

2008y10m06d_183221075_3 2008y10m06d_183256825_3    ポゴレリチを最後に生で聴いたのは水戸芸術館だった。もう15年以上も前のことだ。

 グレン・グールドの数ある名盤の中の一枚を“世界で一番好きなCD”と言ってみたい気がする。が、やっぱりポゴレリチだ。誰が、(水戸芸術館の館長でもある)吉田秀和が、たとえば批判的に語ったとしても、ぼくは世界一好きな一枚はこれだ!と名指す。
 竹内まりやでも高橋真梨子でも畠山美由紀でも矢野真紀でもなく、ステイシー・ケントでもフレッド・アステアでもデヴィッド・ボウイでもブラッド・メルドーでもなくて、
 イーヴォ・ポゴレリチ!2008y10m06d_184759840


 もう一つの自慢は、オリジナルの造作家具だとも語った。

 家に点在する10数脚の木製椅子はすべてぼくがデザインしたものだ。中には強度の算出・設計に失敗して脚が折れてしまったのもある^^。ご愛嬌^^;。

 図書室の南壁面、床から天井下まで設えた、脚立に乗っても最上部まで手がとどかない書棚はとりわけ誇らしく思っているものの一つだ。(じゃ、どうする? 知らないなぁ^^。脚立で肩車するのか?)
  これは、「新宿パークタワー」(パークハイアット東京がある超高層ビル)の中の「OZONE」の書棚がパクったことでも有名で、ストライプ状の小口をとくと見て欲しい。積層合板の断面部分を“表面”とした斬新なデザイン^^。棚板はフィンランドの白樺材。
2008y10m06d_201650950_2   幅2m超の大型パソコンデスク2台も同一のデザインと素材で造っている。


 このまえ言い残した「家の自慢話」とその「写真」については、ここまで。


 グーグルでなんとはなしに地図検索してみたら、我が家の位置はズレていて、人ンちに矢印が示されていた。なんだよ! 右に移動して天窓が二つ見える「曲がり屋」がウチだ。紅い車はとまっていない。バアバの軽が見える。
 驚いたことに「ストリートビュー」という画面が右上にあって、ウチの通りを右だ左だとパンして見られる。上手に動かすと、かなり克明に建物の全景がつかめる。でかいんです。普通の家の二軒分あるから^^。外観はほぼ完璧に眺められるな。

 同じようにして、(まだお邪魔したことのない)Panさんチを眺めてみた。
 車庫の奥の玄関のドア~リビングの窓・・・南側全景がすべて見えるのにはびっくりしましたね。洗濯物を干しているPanさんが映っていないのが不思議なくらい^^。2008y10m06d_204054028

 グーグル・アースについてはmixiで長文記事を書かせていただいた。
 おそらく近々、車に乗り込む自分の姿が宇宙からの神のまなざしで眺められることだろうと書いたけど、「ストリートビュー」機能には、はやくも、マイッタタヌキだ。
 グーグルおそるべし!!

2008y10m06d_202259528  いまウチのトイレには『非公認 Googleの入社試験』(徳間書店)というのが置かれていて、毎朝、みんな、これを解こうと呻吟しっぱなし。
 「カガク作家」竹内薫ら編集者たちがインターネットでググった入社試験問題集なのだ。実に面白い。40問ほどの問題に対して、現役IT技師、数学科出身塾教師、物理系大学院生、Google系プログラマーらが「解答」し、最後に竹内の「模範解答」が示される。

 一問目から、つまってしまった。
 No.1-01  How many golfballs can fit in a school bus?
  一台の学校送迎バスの中にゴルフボールは何個入るか?

 こんな問題もある。
 No.1-04  How many piano tuners are there in the entire world?
  世界にピアノの調律師は何人いるでしょうか?

 O1については、数学科出身の塾教師がかなり近い線の数を数学的に算出している。
 が、グーグル社が若い人材に求める論理(思考)、発想は、それとはまた違ったところにあるようだ。

 それにしても、そもそもカミさんがドーユーつもりでこの本を買いトイレに置いたのか、夫婦らしい会話がこの数年very皆無のぼくとしては、“さっぱりわかりましぇ~ん!”

PS ;

 アップして記事を眺めてみると、書棚の写真映りがひどく悪い。ストライプの美しさなんて、全然見えてこない。皆様、ゴメンナサイ。ホントに綺麗なんですよ。
 写真を差し替える余裕もなく、このまま放置します。すみません。

|

« クリスマスには早すぎるけれど | トップページ | 縁(えにし)の紅い糸・・・ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ターナー先生

先生のお宅、中を垣間見るのは初めて。
すごいんですねぇ、素敵な空間。あそこにポゴレリチのピアノが響くわけですね。
地域コミュニティに開かれたサロンがあるというのは手前の建物の一階部分ですか?
ライヴしたりお茶会やフラワーアレンジメント教室や麻里さんの個展をしたりって。
韓国物産展示即売もなさったとか?笑っちゃいました。特製キムチでも売ったの??
個人宅にそんなスペースをつくっちゃうところがいかにも先生らしいですね^^。それがDOMA(土間?)でしたか?
それに図書室って発想。書斎じゃない家族の共有スペースですよね。ついでに映画ホールもつくったらよかったのに。あっ、映画はDOMAで上映できるのか。すごい!

澁澤龍彦さんの本がたくさんあるんでしょう?ほとんど全部? それでMさんのご登場なんですよね、きっと。果てしなく因縁・絆がつながっているって感じですね。

次なる私の狙い(!)はポゴさまCD。先生のことだから、ああ全部持ってるよって言うに決まってる。
聴きたいです。ターナー・スペシャル、つくってください!って、うざいアラフォー女ですよねぇ(爆)。

投稿: エリカ | 2008年10月 9日 (木) 21時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« クリスマスには早すぎるけれど | トップページ | 縁(えにし)の紅い糸・・・ »