宮様の隠し湯
前回、「オフィーリア」シリーズの続きとしてボディコン女の話を書いてしまったので一週間あいだが空いてしまったが、久しぶりに温泉に出掛けてのんびりと湯につかって来た。
ゆっくり出来たが認知症の母親を連れてのこと、(浴場での自分の脱衣籠はかろうじて判るらしいが)女湯から一人出て来ると部屋がどこにあるか迷ってしまうため、大浴場に連れて行った場合はぼくが入り口のところで控えて待っていた。〔カミさんは、世話するのがイヤなのだろう、表向き温泉は嫌いだと公言してはばからず、一緒に行こうとしない。〕
だから部屋付き露天風呂がある宿をとるのが常で、週末利用のこともあって、ひどく割高になってしまう。これが悔しい。
今回は、部屋付き露天風呂の設備など無い、とっても鄙びた質素な山の中の温泉宿だった。
実家から車で30分もかからないという、灯台下暗しのような、生まれて初めて泊まる、地元の温泉場。
小学生のころからハイキングやキャンプに出掛けている勝手知ったる場所なのに、「日帰りの湯」も利用したことがなかったなんて、実になんとも迂闊だったね^^。
それというのも、温泉の湯質はかなりいい。
驚きあきれるほど湯質のレベルが高い温泉だ。
いまや“温泉学”のエキスパートを自認しているこの身この肌に、ぐぐっと迫ってくるほどだった。
“温泉学”については、父親がぼくの師匠であることに変わりない。経験量ではぼくの三倍以上は現場をまわって学んでいる人だ。いまだに教えられることばかり。
その父親も“まさか!”と今更ながらに驚いていた。
北海道から鹿児島までの温泉話ならぼくもついて行ける。ところがその先の屋久島、沖縄の温泉の話となると未体験。ぼくにはお手上げだ。親父は外国でも「温泉場」を歩いている。すべて行ったことのない所だ。
しかしながらその彼にしても、こんな近場にこんなに優れた温泉があることは知らなかったのだろう。
一度目の湯から部屋に戻ってきたとき(ぼくは母の介添えのため10分で上がって来たが)、ぼくらは顔を見合わせて、“いいねぇ、実にいい。最高の湯だ”と微笑み合ったのである。
日本全国に、“美肌の湯”ないし“美人の湯”と称される温泉がある。
言い伝えはさまざまあれども、その「定義」というのは存在しない。「弱アルカリ性」の湯であることはほとんどの場合に確かでも、100%そうだとは言えない。
脱衣場の壁に貼ってる「温泉分析表」(効能書きを含む)をじっくりと読んでいただきたい。
できれば暗記するかメモしていただきたい。
たとえば、今回の温泉は「ナトリウム、硫酸塩・炭酸水素塩温泉」だ。「pH値」は7.2。効能として「切り傷、火傷、慢性皮膚病、アトピー」に効く「美肌の湯」とある。
これくらいは覚えられよう。
「美肌の湯」は「弱アルカリ性」の湯である。
肌の脂(皮脂)を溶かして角質層を軟化させるために、入っていると肌がすべすべしてくるのが分かる。
テレビの旅もの番組では、“ああ気持ちがいい! どう、このすべすべ感。なんだか美人になっていくみたい”と芸能人リポーターが顔をぬぐうシーンが必ず出て来る。
アルカリ度が高いことで有名なのは白馬八方温泉(長野)で、ここのpH値は11以上もある。信じがたい。
そのむかしぼくらは学校では「pH」を「ペーハー」と教えられた。
ところがその後、「ピーエイチ」に統一された(らしい)。文部省(現・文科省)の理科の会議では資料文中の「pH」は「ピーエイチ」と読み上げられ、それは英語と独逸語の発音の違いでは済まされぬ問題だった。「ペーハー」と言う奴は理科知らずの馬鹿と笑われるために、ぼくらは必死になって教科審議官の前で「ピーエイチ」云々と言うのが常だった。変ですよねぇ、逆のような気がしません? でも最近、なんだかまた「ペーハー」に戻っているような。気のせいでしょうか。間違った言い方がたまたまテレビで放映されたのか、「ペーハー」と得意げに発音している人がいましたよ。
理科の先生がいらしゃるならぜひとも確認したいところだ。現在、学校現場では「ペーハー」なのか「ピーエイチ」なのか? 文科省は「ピーエイチ」と指導しているはず。
(これを読んでいる)大体の人が高校までは「ペーハー」 、理系の専門大学以降は「ピーエイチ」だと思う。現在、大学生の若い読者ならずっと「ピーエイチ」かなぁ?
ピーエイチ「7」を超えると「アルカリ性」になる。
「pH7.2」なんて、弱アルカリのうちにもはいらないくらいだ。でもほどよいスベスベ感があった。東京都の水道水の基準pHは《5.8~8.6》なんだぜ。ここまでの幅の大きさが、なんで許されるのか、ぼくには理解できない。いい加減すぎやしませんか?
ぼくが言いたかったのはこういうことだ。
“美肌の湯”のスベスベ感は「アルカリ性」がもたらすものだというのは正解かも知れないが、pH値の大きさがすべてではないということ。
日本酒だってそう。日本酒度の高い辛口の酒がうまい酒・いい酒とは限らない。ほとんど、例外なく(?)、そうじゃない?。
アルカリ度が強すぎると、(入っているときは“うなぎの湯”のごとくヌルヌルでも)湯上り後に肌がカサカサになる場合が多い。スベスベ、ヌルヌルには逆に要注意なのだ。
温泉では、「温泉学」徒は“かけ湯”はしない。これ、常識デス。
銭湯とおんなじで、ザブザブかけ湯してから(シャワーを浴びて)上がる人がいる。これじゃなんのために温泉に来たのか分からない。
だって他に一杯人が入っていて汚いじゃない? なんて発想があるとしたら、そもそも温泉に来る必要などないのだ。な~んか取り違えていませんか、だ。
そうした方ほど、温泉に来たからと何度も入浴しようとする。
これも「誤解」の最たることね^^。
宿にチェックインして、夕方、夜、明け方、朝食後と、たとえば四回入浴しても、温泉の効果には変わりはない。一日のうちの回数など関係ない。むしろ逆に「湯疲れ」して、眠気や疲労感・微熱感・食欲不振を起しかねない。逆効果につながるケースが多いことを肝に銘じるべきだ。
「温泉学」徒は、そんなことは決してしない。
湯治の環境にいかに近づけられるか、それが問題なのだ。ゆっくりのんびり、いかに数日間すごせるか。
江戸の頃から温泉に出かけるというのはそういうことだった。温泉客はせかせかしていない。着いた日は一度、しかもザブンして即上がるという入り方から始まっていた。二日目で二回程度。最低でも四・五日は同じ宿にいてゴロゴロしていたのだ。
スパ・リゾート感覚で温泉場に行くなら、「日帰り」でいい。
一回入って、その場で食事して数時間くつろぎ、それから帰ってくればそれでも充分に温泉効果はある。沸かし湯でなくホンモノの温泉ならね^^。
温泉の基本は、あくまで、心の湯なのだから。
おっと忘れるところだった。
そこの温泉宿は・・・ここだからバラしてしまおう。
総裁選挙戦の渦中の人物・麻生太郎氏の義理の弟、寛仁親王(トモさん)の“隠し湯”なのだ。ヒゲの殿下ね。トモヒトさんなんだけど、意外に正確にそう呼べる人が少ない。ノリヒトなんて呼んでしまう。憲仁(のりひと)は故・高円宮さん。
体調が思わしくないトモさんは、もう頻繁には来られなくなったものの、この湯を愛している。ホントは長期的に保養で滞在していただきたいと思う。皮膚病関係じゃ仕方ないか。
宿自慢の「黒鶏」の卵料理を食べていりゃ、元気になるさ。これの温泉卵が実に美味しい。
東京で、帰京の翌日に手渡せる環境にある読者の方々、手を挙げてみて。ぜひとも連絡してちょうだい。
宿名物の土産物1ダースの箱入り卵(温泉)、今度買って来ますよ。旨さを堪能するには一人最低2個は食わなきゃね。
実はここの女将の実家の酒も美味い。
“どぶろく”が特にいける。これは子供の頃から飲んでいるので判る^^;。まったく無名の日本酒だけど、空気・水・米のどれをとっても最上質なんだから、味は推して知るべしだ、なんて地元に甘い奴なんだろう(笑)。
宿のお土産物コーナーには、写真のような、こんな素敵な三本セットが用意されていた。どうですか? 山奥の温泉場にしてはお洒落な日本酒セットでしょ?
なんで買って帰って来ないのだ!! とお叱りを受けそう。ゴメンナサイねぇ。どこに行っても、ぼくはお土産物は一切買って帰りません。悪しからず。
ところで皆さん、ご覧になりましたか?
NHK『SONGS』の「高橋真梨子特集/ニューヨーク・スペシャル」。
彼女の大ファンとしては、本当はここに長いブログ記事を書かねばならないと思ってマス。その義務がある。いままでがそうでした、デショ?
それを期待して読みに来ていらっしゃる方々も多いと思う。なんとも情けない、裏切り男のターナーです。ゴメンナサイ。
重ねて、お詫びいたします^^;。
次回、少し触れましょうかねぇ、高橋真梨子のこと。
そんなぼくが暇にまかせて(?)、ついに畠山美由紀のベストCDをつくってしまいました。
下拵(ごしら)えに約一ヶ月かかり、これはこの前、何人かに送っている美由紀さんCDの大幅改訂ベスト/決定盤になります。
彼女の代表的な曲をすべてそぎ落とした奇妙な一枚。でもこれが「ベスト」。今はそんな気がしています。
現在、耳だけを頼りの生活者・Panさんに、高橋真梨子ベスト盤(PartⅢ)と共に、来週アタマに、お見舞いを兼ねて発送いたします。
だって彼女には前回の美由紀ベスト盤を渡していなかったのだから。当然だよね。でも、追っかけほかの皆様にも発送しますのでご心配なく。
〔ただし、Panさんには、眼を疲れさせるとまずいので少し前のブログで触れているDVDは同梱しません。愛情からよ、悪しからず^^;。〕
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コメント
ターナーさま
インカの国から戻ってまいりました。
元気一杯、魔力充填のひみこサンです(笑)。
せっかく世界の果てのあっちまで行くのだからと、実は出発前には内緒でしたが、かなり欲(と旦那様のお金)を出して、ナスカの地上絵を眺めに出掛けたり、マーが世界で一番大好きだった場所(違うのかな、やっぱりプロヴァンスなんでしょうか?)なんと「イグアスの滝」にまで無理して足をのばして、トータルではかなりの長旅になってしまいました。
大人三人の南米の長旅。普通のサラリーマン家族じゃとても無理な規模。わが旦那様に深謝。娘も大いに刺激的ないい経験になったと思います。パリに三度行ったくらいのね^^。
でも道中、大きなトラブルもなく、120%充実のインカの旅でした。神とマーに感謝しています。
ターナー先生のご助言もいろいろと大いに役立ち(さすがに世界を“股ひらかせて”歩いて来た方ですよね! ドーユー意味か?)、あたしとしては、生涯最大の思い出がつくれました。ありがとうございました。
エリカさんには、このブログで留守中に孤軍奮闘していただき、涙・涙の感激です。でもお土産はほんの気持ちだけでごめんなさい。ターナーさん経由で、後日お渡しいたします。インカの秘宝です^^。でもお二人は直接会えるような仲でしたっけ? 違ってたらターナーさん無い知恵しぼってね。
先生には、本場のインカの「マカ」をたっぷりと買い込んできましたから^^。すごいよぉ~ッ(爆)。娘はマチュ・ピチュの石のお守りを買っていたようです。お楽しみに!!
高橋真梨子の「SONGS」、再放送で間に合いました。でも再放送版は時間が短いみたい。ちゃんとしたのをDVDで、後日、お願いしますね^^。
この真梨子さんの最新ベスト盤と畠山さんの、二枚と引き換えに大量の「マカ」をお渡しいたします。いいでしょ(爆)。
マーの命日が間近です。
あの人の性格を想うと、派手で華美なことは一切しないで、できれば二人だけで静かに偲びませんか?
あたし的には、どこか音楽の聴ける寂しいくらいの場所(高層ホテルの最上階とか)で、高橋真梨子とリタ・クーリッジを聴きながら、高いシャンパンをがんがん飲みたい、そのまま酔いつぶれちゃいたい、そんな気持ちです。あたしたちもお互い、余計な会話は一切ナシで。
そのあたりは、携帯メールで。
投稿: ひみこ | 2008年9月14日 (日) 18時20分
ひみこ姐さん、お帰りなさい。
非力ながら留守をお守りいたしておりました、なんて^^。
先生にはとても知力がついていけないので、どこまで理解できたかは保障の限りでございません。
姐さんのインカ・パワー、そのほんの少しでもご伝授いただければ幸いと思っております。
なにやらお土産まで? それを理由にターナー先生と直接、公然と、お会いすることができるのならそれこそ無上の喜び。なんだかその「仕掛け」こそがひみこ姐さんからの最高のプレゼントのような気がいたしますが、本当のところはどうなのでしょう(微笑)?
「pH」の件。
ピーエイチで統一ですね、私のところでは。
どうしてこの用語だけドイツ語発音でなければならないのか逆に疑問です。
美由紀さんのCDの件。
心待ちにしています。「浜辺の歌」のブログ記事のときからずっと気になっていました。
美由紀さんが歌っているのですよね、あの「オーガニック・ヴォイス」で? これは期待できます。私が先日、不躾ながら、先生に差し上げたCDの「中山うり」、彼女もがんばっていますよ。新作もとってもいい出来です。でも聴きこめば「歌=声」に魅力があることでは美由紀さんが一枚上手です。「うり」の売りはキャラのユニークさです。
宮様の温泉場、先生とお忍びで行ってみたいですね^^;(ひみこ姐さんにはナイショで、てなわけにいかないか。冗談ですよ、姐さん)。鄙びたってところがいいです。私好み。この前、房総でも、あそこにはロクな温泉はなくて「鉱泉」のたぐいで、それでも鄙びたいいところを見つけるために歩いていました。《つげ義春》の世界の温泉、憧れてしまいます。濡れた髪を無造作に束ねて、化粧っ気のない顔、くたびれた浴衣姿で膝をくずして、岩魚の塩焼きと裏山で採れたキノコ鍋をつつくとか、そういう旅がしてみたい・・・とずっと思っているのです。お写真では、でも、りっぱそうな浴場と露天風呂。鄙びてないですよね、これって。宮内庁が認めているのだから(絶対に厳しいチェックが入ってますよね)薄汚い湯治場であるはずがない^^。連れて行って欲しいなぁ、那須高原の山奥なんですか?? 先生のご実家って、那須の御用邸のそばなんでしょう?
なんだか先生が宮様に思えてきちゃった(笑)。
「マー」さんに─もちろんまったくご面識のない方ですがそれでも先生やひみこ姐さんのいろいろなお言葉からのイメージでとても近しい人のようにも思えている方です─心をこめて手を合わさせていただきます。じっと、合掌。
お仲間に入れてもらおうなんて、そんな大それたことは毛頭思っておりません。
先生のブログを偶然知り、同時にそれが「あなた」のために書かれていることを知った私。何度も何度も過去記事を読み返して、mixiの日記も先生の御厚意で読むことができました。読むたびにその魅力に“圧倒される”ばかりです。なんだかもう、映画のヒロイン。神話の世界の存在。こんなに才能豊かな素晴らしく素敵な女性(多分相当の美人)が、赤坂のクラブでシャンパンのグラスをかざしながら、ピアノを弾いて高橋真梨子を、リタ・クーリッジを歌っていた??
国籍は韓国?日本?外国語は10数ヶ国語以上も堪能で、文学はもとより映画や美術や建築の分野では「教授」はだしの知性。私にはとても信じられないのです。憧れの美姫。本当に生前にお会いしてみたかった一番の女性です。
命日はもうすぐって、いつなのでしょうか?
墓碑の場所がわかれば、ぜひお参りに出かけたいところです。韓国は無理ですけど。
とても長くなってしまって済みません。このブログの読者を(おこがましく)代表しての気持ち・哀悼の念を、まとまりなく書いてしまいました。
先生、ひみこ姐さん、悪意はまったくございません。御理解ください。許してくださいね。
投稿: エリカ | 2008年9月16日 (火) 23時22分