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2008年2月17日 (日)

幻の女

 To be continued と書いたおぼえはないけれど、一体その女性とは誰だ?と今回の話を期待された方もいらっしゃるだろう^^。
 残念ながら、それはぼくが知りたいくらいなのだ。 

Photo_8   夢はあそこで終わっていた。女が誰だったのかはまったく判らない。ガーン!と驚いたところで、激しくストロボがたかれてしまったみたいで^^。記憶は真っ白け!!

 でも、夢っていつもそんなもんでしょ? ストーリーが完結したためしがない。夢を見ていて、これが小説だったら凄い!プルーストやジョイス以上の問題作だ!なんて自分で唸ってしまうこともあるが、醒めてしまえば覚えちゃいない。たまに枕元にメモを残してみたりする。が、何を書こうとしたのか自分の字がさっぱり判読できない。忘れちゃならないと筋の展開を記したつもりだったのに...そんな夢筆記もまた夢の一部だったのか? それとも夢遊病なのか?(苦笑)。
 この前の夢に立ち現れた女、それは憧れのハリウッド女優であって欲しかった^^。 ぼくに会いに来たとかね^^。私を監督して!と言いに来たとか。夢なんだから、それくらいいいじゃないですか(笑)。

 ぼくが監督してみたい女優は一杯いた。いや、「永遠の事実」として、時制は現在形で、一杯「いる」。 監督したい女優たち=全盛期=名前というイメージ連鎖は沢山ある。いま現在が老婆でも亡くなっていても関係ない。その10人のリストが“ぼくの大好きな映画女優ベスト10”でもある。


Photo_5  1.岡田茉莉子、2.キム・ノヴァク、3.エヴァ・ガードナー、4.デボラ・カー、5.ドミニク・サンダ、6.夏目雅子、7.ケイト・ブランシェット、8.アヌーク・エーメ、 9.スカーレット・ヨハンソン、10.イ・ヨンエ 
〔オードリー・ヘップバーンは最大の敬意を込めて「無鑑査」とさせていただく〕Photo_9
 第5位までは学生時代から現在までほとんど不動の順位だ。順位は動かないまま、彼女たちの主要出演作品は観尽くそうと努力してきた。しかし例えば岡田茉莉子など、観切れるわけがない。ぼくが知る限りでは150本以上の作品があるからだ。ぼくが小4のときに観て、学校の作文にまで書いてしまったほど衝撃的な影響を与えられた映画が『秋津温泉』だった。
  はっきりと思い出せる。その作文は、“ぼくは映画が大好きです。映画には大好きな女優がいるからです”という稚拙な論述で始まる。そうか、映画を「女優」で観るというこの姿勢は、すでにして10歳のときに形成されたのか・・・、幼い自分を茶化しちゃいけねぇな。
 作文では《理想とする女性像》が綴られていた。綺麗な女性ってことデス、はい。
 “ぼくは日本の女優なら岡田茉莉子、外国ならダニエラ・ビアンキが大好きです”とそこで書いた。これって、《私の好きな人》あたりがテーマの、小学生向けの、自分のヒーロー/ヒロイン礼賛の作文の時間だったんじゃないかな??
 そこで10歳のガキが岡田茉莉子と書いてしまう。これは凄い。我ながらなんとも凄すぎる^^。
 もちろんクラスの誰もそんな女優の名前など知らなかった。学級担任の高橋先生(男・図工美術担当)がブッタマゲた。彼はたまたまプライベートで、ダニエラ・ビアンキの出ている映画をドキドキして観ていたのだろう、多分。すごくエッチな気持ちで^^。ダニエラは「ボンドガール」で、『007ロシアより愛をこめて
』に出ていた(笑)。Photo_3
 ぼくは、発売したてのロッテ・ラミーチョコレート(ラム酒味)を片手に007映画に魅せられていた。
 この歳になると、幼稚園の頃から一人で映画館に行っていたぼくだが、毎週末に必ず映画館に出掛けるのが習慣だった。行けば一日中その暗闇の中で過ごしていた。
 母親が、朝に御握りの包みと、映画代&お小遣い50円を持たせてくれた。ぼくは売店で嬉しくロッテのバッカスチョコレートかラミーチョコレートを買い(“お父さんに頼まれたんだけど、ありますか?”なんて言ってさ^^。売店のおばさんは顔なじみだったので、事情は分かっていたと思う)、ちびりちびりとそれをかじりながら頬を赤らめてスクリーンに見入っていたのだ。入れ替えなしだったから、三回観ることはザラだった。
 『秋津温泉』のときに、すでに岡田茉莉子は「主演作品100本記念」だったと記憶している。幸運なことに、ぼくはそこを起点として、“岡田茉莉子の映画”を前に後ろ(同時代的)に観ていくことができた。それは吉田喜重監督の全盛時代の作品群を同時代体験していくことを意味していた。子どもの眼がとらえた吉田喜重映画の世界。吉田をきちんと観直すのは大学に入ってからのことだった。その頃には、岡田のファンクラブ「茉莉(「鞠」の字だったかなぁ?)の会」の最年少会員として、日本橋の三越劇場で年に数回彼女の舞台劇を堪能しては打ち上げパーティーの末席に小さくなって座っていたものだ。おじさま紳士たちの間で^^。とっても懐かしい。
  大学3年のときだったか、岡山~津山の旅に出かけた。倉敷や尾道を歩いたのもそのときが初めてだった。津山の先の山あいの「奥津温泉」を訪れるためだった。『秋津温泉』の舞台となったところである。
 そんなことはいまでもしょっちゅうある。パリでもロンドンでもニューヨークでも、ソウルや上海、蘇洲でも、映画のロケ地には機会があれば必ず訪れて追想に耽る。その世界にはまり込む。自分をその人物に生成変化させる・・・。西行や芭蕉だってそうして旅していたのである。たった一本の映画のために・・・どれだけのお金と時間をかけて必死になって「無駄」なことをやってきたことか。それはぼくにとっては少しも無駄・無益なことではなかった。人はショウモナイと舌打ちする。馬鹿だねと笑う。でも、そうではない。これに命を懸けてきたのが(ちょっとオーバーかな^^)ぼくの人生なのだ。

 後年、ヒッチコックだトリュフォーだロメールだと騒ぎ出すこのぼくは、10歳のときにして吉田喜重の映像世界に呪縛されていたという事実、これはひどく重たいことだろう。重度のトラウマとしての吉田映像と音楽。そうだ、あの独特の「音楽世界」!いまだに縛られている。
 ドミニク・サンダはほとんど全部観ている。ミドル・エイジ(?)の新しいところが1,2本欠ける程度。全盛期のは完璧に観尽くしている。70年代の彼女は神がかり的存在だった。パリ時代に、ご本人とサン・シュルピス教会前のバス停で接近遭遇した。その場で気絶しそうなくらいの強烈なオーラがあった。
Photo_6  先日魅了されたと書いた「檀れい」は和風「デボラー・カー」という感じがする。いまフトそれに気づいた。
 「檀れい」を観て、誰かに似ていると思っていたが、ユニヴァーサルにモーフィング/洗練していくと「デボラ・カー」に行き着く。『黒水仙』の彼女は美の権化であることは間違いないが、『地上より永遠に』、『情事の終わり』、『王様と私』、みんなため息が出るほどいいけれども、やっぱり『めぐり逢い』だろうな。何度観ても彼女に涙する。
 もしぼくが好きな人と雪に降り込められた北国の街のどこでもいいやリゾートでなくてもビジネスホテルの一室にいて、何もすることなく一日中ベッドの中で、100インチのプラズマ画面でDVDを観て過ごしていていいのならば(変な仮定条件だね^^)、ぼくは「キャラメルコーン・練乳」のミルク色の袋とボルドーワイン「シャトー・ソシアンド・マレ ’90」を用意して、この『めぐり逢い』を観て涙流すことだろう。これがいま考えられる人生の至福の、最高のときだ。そのまま脳溢血で死んでもいい(笑)。
 あらためて、このベスト10の第10位から順に、女優と映画にまつわる思い出話を一本ずつ書いていきたい衝動にかられる。
 でも第6位以下は、TPOで可変的なものだ。あるときは10.長澤まさみ、なんて書いてしまうだろうし、8.ソン・イェジンや 9.マリオン・コティヤールとすることだって可能性は大ありだ。

 いろいろな映画賞が発表される時節。Photo_7
 日本なら『Always続』は注目していたいし、海外なら『愛の讃歌』とマリオン・コティヤールが気になるし、ケイト・ブランシェットだって必ずなんかの賞を取ると思う。じゃないと、オカシイ。
 そして『ラスト、コーション』、この作品の受賞動向には一番注目していなければならない。

 そんなこんなと、ボヤーッと映画のことを考えながら、さっきたまたま、上の文章とはまったく関係なく、クロード・ルルーシュの『男と女』の一部をたまたまYouTubeで観直していた。

 短くても、何回観てもいいよねぇ。
 ぼくは『男と女』フェチの人間であり、この映画には、岡田茉莉子とダニエラ・ビアンキを知った後の、小6のときからイカレ切っている。ためしにこういうブログも在るから、まずは記事を丹念に読んでもらい、この映画の映像の“いい雰囲気”を一緒に味わってもらいたいと思う。

 http://oldieseu.seesaa.net/category/3213975-1.html
 
 
そしてこんな辻さんの文章も思い出す。

Photo
 “T君の目的地ドーヴィルに着いたのは、そろそろ夕暮れの感じられる時間だった。重厚な、前世紀風の、黄褐色の三階建の別荘が、松並木のあいだに、森閑と静まり返っている。広い通り。海岸に出て、長い木造の脱衣場のそばで車を停める。T君はカメラでしきりと『男と女』のなかの構図を狙っている。
 「ここで、こうカメラがパンして、こんな具合に移動で迫ってゆくんです」
 あたかもその場に居合わせた人のように詳しく撮影情景を説明してくれる。一回二回見ただけでは、これほど詳しくカメラの動きを覚えられないだろう。何という情熱かと思う。” ─ 辻邦生『春の風 駆けて』(中央公論社) ─

Photo_2  ちなみに、“世界一の美人女優”といったら、いや、人類史上ナンバー1の美女といったら、「エヴァ・ガードナー」じゃきに!! 
 エヴァ・ガードナーとキム・ノヴァクは、とびきりの別格。安直に文章化しちゃ彼女たちに無礼だ。気をつけなくちゃ。

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