『愛の讃歌』を、もう一度
もうそろそろ、ぼくの「ピアフ/愛の讃歌」ブログ記事に何がしかの反応があってもいい頃だと思っていたら、無視されるように(^^;)、はや一ヶ月が経ってしまった。
だめですかねぇ? ああいう文章は。面白くないかなぁ?
映画や曲のことに限らず、ピアフの恋人の余談(ボクシングの話)、アンヌ・ヴァゼムスキーの小説のことなんて、ほかの誰も触れていないんだけどなぁ・・・がっくりきちゃうよね。
皆さんの中で、誰かこの記事にそそられて、映画をご覧になられた方、いらっしゃいませんか? エディット・ピアフの歌う『愛の讃歌』、クミコや越路吹雪のでもいいから、この曲を最近聴き直したなんて奇特な方おりませんか?
誰もいない・・・・・・この無反応は、一体なんだろう??
ぼくには布教・伝道の義務があるのだ。そう、ピアフへの愛の伝道師なのだよ。
一人でも多くの方に、「あなた」のあの熱い気持ち・思い入れを理解してもらえるよう、ピアフその人と歌の素晴らしさを伝えることを約束した男だ。
嫌われたって平気だ。くどいと言われようが、もう一度、『愛の讃歌』の話を書くことにする。この沈黙・無反応の世界に少しでも波風を立てるためにね^^。
今さらながらですが、映画『エディット・ピアフ 愛の讃歌』の予告編をご覧いただきたい。
記事にただ写真をのっけただけではダメなんだね、たぶん。当世風には動画情報を加えておかねばならないんだね。はい、どうぞ。・・・この女優マリオン・コティヤールの姿を垣間見るだけで・・・涙が溢れてくる(こう書いてしまうのが、“嫌味(イヤミ)”に感じられるんだろうな^^)。
http://www.youtube.com/watch?v=V5OXONk9qS8
どやどや? でも、感じませんか、感動の予兆。すぐにでも本編が観たくなりませんか?
そしてピアフの歌声。絶唱『愛の讃歌』。晩年のお姿ではある。しかしこの熱さはどうだ!
http://jp.youtube.com/watch?v=hwz8VvOgTHU
ついでに、絶頂期のコーちゃんの『愛の讃歌』。さすがです。圧倒的です。これにはクミコも負ける。泣けてきますよね。うまい。絶品です。
http://www.youtube.com/watch?v=cbxGHJn4JH4
さらにオマケで山口百恵の『愛の讃歌』。これはお宝映像ですね^^。
http://www.youtube.com/watch?v=lAXeKX-1spE
『愛の讃歌』が生まれたのは、伝記で語られている通りの「史実」に即せば、ピアフ最愛の人・マルセル・セルダンの飛行機事故死がきっかけとなっている。
彼(への愛)に捧げるべくこの歌をつくったと。
それはしかし、「事実」ではなさそうだ。
彼の事故死以前に書かれていたという数々の証言がある。
でもそんなことは関係ない^^。それでいいのだ。
もっとも、愛の絶頂期が惜しくて、怖くて、もったいなくて、あらかじめ“終焉”を書かずにいられない心境は充分に分かる。人は始まりと同時に終わりも直感してしまうものなのだ。ひとつの死に向かってすべての生は輝かしく動き出す。性的衝動にしても。旅の身支度は、帰還後の後片付けを背中に予感して微笑ませる・・・。
ピアフは、その幼児期からの性格からなのか(人形愛)、マルセルの死後、降霊術にハマった。
巡業にはいつも三本脚の円卓を持って歩き(これを忘れた付き人時代のC・アズナブールはピアフにド阿呆!と罵倒され蹴飛ばされ殴られ)、夜な夜なマルセルの霊を呼び寄せた。
周囲の気配りは大変なもので、ときにマルセルを装って腹話術で声を出してピアフを驚喜させたという。
霊感に打たれて『愛の讃歌』は産み落とされた。マルセルへの愛を息吹にして、ピアフは『愛の讃歌』を歌ったのだった。彼女は“愛”を謳った。
この曲によって、再びピアフは歌う力と歓びに目覚める。ピアフはこの曲で蘇生する。
だから、ほかのどの曲よりも重要なのだ、この『愛の讃歌』は。
ぼくには変な性癖があって(...変でもないかな)、元歌が外国の曲なら原語の歌詞にきわめて忠実な自分の日本語訳でそれを歌いたくなる。
それを始めたのは中学生のころ、ビートルズの曲だった。自分で歌詞を全訳するのとは意味が違う。ちゃんとした日本語の歌にして自分で唄いたいのだ。
mixi時代あるマイミクに、そんな要望のコメントを書いて嫌われてしまった(?)ことがある。彼はお気に入りの曲の歌詞を自分で訳してみせていた。だがそれは歌えない訳詞だった。ぼくは感じた。そんなのは意味がない。旋律に合うような日本語で歌う、それこそが筋道だと(でも、なんの?)。ただ訳すだけなんてつまらない。ぼくは嫌味なことを書いてしまったものだ。押しつけもいいところ。
さてそうなると、岩谷時子の作詞による『愛の讃歌』は、ピアフの『愛の讃歌』とは別物じゃないかという理屈になる。ならないか。
改行するとスペースの無駄になるので、歌詞をつなげて書いてしまう、ご了承いただきたい。
まず『愛の讃歌』の大意はこうなる。ちなみにこれは某サイトからの引用で、ぼくの訳ではない。念のため。
《たとえいつの日か、人生が私からあなたを引き離そうと、あなたが死んで、遠いところへ行ってしまおうとも、私を愛してくださるなら、たいしたことではない。なぜなら私もまた死ぬのだから。私たちは永遠を手に入れるでしょう。はてしない青さのなかで、もう何の問題もない空のなかで、神は愛する二人を結び合わせる》
確かに原文を(誤訳を気にせず)ほぼ直訳すると、こんな内容の歌詞にはなる。
これを踏まえて、
では、越路吹雪が歌う、岩谷時子の名訳(超訳/創作)『愛の讃歌』はどうか?
《あなたの燃える手で あたしを抱きしめて ただ二人だけで 生きていたいの ただ命の限り あなたを愛したい 命の限りに あなたを愛するの(・・・)》
長く引用するまでもなく、誰もがおそらくクチにできるほど有名な、歌舞伎の名台詞のように「声に出して歌いたい」愛の名歌詞である。
ぼくはこのくだりが特に好きだ。
《かたく抱きあい 燃える指に髪を からませながら いとしみながら くちづけを交わすの 愛こそ燃える火よ あたしを燃やす火 心とかす恋よ》
素晴らしい!! 何も言うことなし。
なのに、何かイチャモンを付けずいられない人間が世の中には必ずいる。
美川憲一だ。美川は、フン! あたしは嫌よ、あんな美文調、とばかり、日本シャンソン界のドン・永田文夫の訳による、ピアフの歌の内容に忠実な(?)『愛の讃歌』を歌っている。
《空がくずれ落ちて 大地がこわれても 恐れはしないわ どんなことでも
愛が続く限り かたく抱きしめてね 何もいらないわ あなたのほかには
世界のはてまでは 私は行くわ おのぞみならば
かがやく宝 ぬすんで来るわ おのぞみならば
祖国や友を うらぎりましょう おのぞみならば
あなたのために 何でもするわ おのぞみならば
もしもいつの日にか あなたが死んだとて 嘆きはしないわ 私とともに
とわのあの世へ行き 空の星の上で ただふたりだけで 愛をかたりましょう
ラララー ラララ ララ
愛を語りましょう 》
もう一度読み返して欲しい。最初に紹介した「大意」には沿っているように見える。でも忠実ったって、変な日本語でしょ? 表現を細かく吟味しなくとも一見しておかしい言葉づかいだ。翻訳文としてあまりにレベルが低すぎる。
しかしこれが、美川流の正調『愛の讃歌』としてまかり通っているのだ。
さてこうなると、ターナー先生の出番となる。ターナー版『愛の讃歌』は、旋律に合わせて日本語で歌えて、内容的にも極めて忠実なことが最低の条件となる。
本邦初訳、エディット・ピアフが歌っている『愛の讃歌』とは、正しくはこういう歌なのであります。
Le ciel bleu sur nous peut s'effondrer
青空がおちてきて
Et la terre peut bien s'écrouler
大地がくずれても
Peu m'importe si tu m'aimes
あなたの愛があるなら
Je me fous du monde entier
どうなってもいいの
Tant qu'l'amour inond'ra mes matins
愛に満たされた朝に
Tant que mon corps frémira sous tes mains
愛撫に震えるからだ
Peu m'importent les problèmes
何も欲しくはない
Mon amour puisque tu m'aimes
あなたの愛さえあれば
J'irais jusqu'au bout du monde
地の果てまで行くわ
Je me ferais teindre en blonde
髪を金に染めてもいい
Si tu me le demandais
あなたが望むなら
J'irais décrocher la lune
月をはずしてみせる
J'irais voler la fortune
幸せを盗むの
Si tu me le demandais
あなたの言いなりよ
Je renierais mes amis
Si tu me le demandais
On peut bien rire de moi
Je ferais n'importe quoi
Si tu me le demandais
Si un jour la vie t'arrache à moi
Si tu meurs que tu sois loin de moi
Peu m'importe si tu m'aimes
Car moi je mourrai aussi
Dans le bleu de toute l'immensité
Dans le ciel plus de problèmes
Mon amour crois-tu qu'on s'aime
かたく結ばれる 神の御もとで
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コメント
すごく参考になりました!ありがとうございます。最近百恵ちゃんの引退時の歌唱をYouTubeで見つけてから、この曲がすごく気になってます。映画も見たいと思います。
投稿: 焼きそば | 2008年3月 6日 (木) 20時20分
初めまして!!ピアフの映画を見て感動した者です。
こちらの記事、自分のブログから参照せさていただきました。どうぞ宜しくお願いいたします!
http://enurou.blog96.fc2.com/blog-entry-223.html
投稿: N郎♪ | 2008年3月12日 (水) 20時17分